「会社を作ろう」と決めたとき、多くの人が最初にぶつかるのが「設立書類をどう作るか」という壁です。定款や登記書類を専門用語のまま自力で用意するのは骨が折れますが、いまはfreee会社設立マネーフォワード クラウド会社設立という2つの無料サービスが、質問に答えるだけで書類一式を自動作成してくれます。

結論から言うと、どちらも「設立書類の作成」自体は無料で、印紙代4万円を節約できる電子定款にも対応しています。差が出るのは設立後に使う会計ソフトとの相性と、専門家サポートの手厚さです。すでにfreeeやマネーフォワードのどちらかを使う予定があるなら、そのまま同じ系列で揃えるのが最短ルートになります。

この記事では、2つのサービスの違いを料金・電子定款・向き不向きの順に整理し、最後に「そもそも会社の住所をどうするか」という見落とされがちな論点まで解説します。※本記事は一般的な流れの解説です。個別の判断は専門家にご確認ください。

そもそも「会社設立freee」「マネーフォワード クラウド会社設立」とは

どちらも、画面の質問に沿って会社名・所在地・資本金・事業目的などを入力していくと、定款や登記申請に必要な書類を自動で生成してくれるクラウドサービスです。従来は司法書士や行政書士に依頼するか、法務局の様式とにらめっこしながら自分で作るしかなかった書類を、フォーム入力だけで用意できるのが最大の価値です。

株式会社・合同会社のどちらの設立にも対応しており、作成した書類は印刷して法務局へ持参・郵送するか、電子申請の準備に使えます。会社の実印作成やハンコセットの購入導線が用意されている点も共通しています。つまり「書類作成の入り口」としての機能はよく似ており、決め手は周辺サービスの違いになります。

結論:どちらを選ぶかの判断軸

迷ったときは、次の順番で考えると決めやすくなります。第一に「設立後にどの会計ソフトを使うか」。第二に「専門家のサポートをどの程度求めるか」。第三に「操作画面の好み」。設立はゴールではなくスタートなので、日々の記帳や確定申告まで見据えて選ぶのが合理的です。

ざっくり言えば、スピードと自動化を重視し、会計もfreeeで一気通貫にしたい人はfreee。会計や請求などマネーフォワードの他サービスを使う予定があり、専門家連携も欲しい人はマネーフォワードが向いています。とはいえ書類作成の完成度自体に大きな優劣はないため、「設立後の相棒をどちらにするか」で決めてしまって問題ありません。

料金は「書類作成は無料」、差が出るのは会計連携

両サービスとも、設立書類の作成機能そのものは無料で使えます。費用が発生するのは、電子定款の作成代行手数料(一般に5,000円前後)や、設立後に契約する会計ソフトの月額です。下の表で主な違いを整理します。

比較項目 freee会社設立 マネーフォワード クラウド会社設立
書類作成 無料 無料
対応形態 株式会社・合同会社 株式会社・合同会社
電子定款 対応(代行手数料あり) 対応(代行手数料あり)
電子定款代行の無料化 freee会計の年間契約で手数料無料になる導線あり クラウド有料プラン加入で手数料無料になる導線あり
専門家サポート チャット等のサポート、起業支援の伴走導線 メール・チャット、行政書士による定款サポート
設立後の会計 freee会計に連携 マネーフォワード クラウド会計に連携

金額は改定されることがあるため、最終的な手数料やプラン料金は各公式サイトで申込み直前に確認してください。ここで押さえるべきは「書類作成は無料、電子定款と会計ソフトで差が出る」という構造です。

電子定款で印紙代4万円が不要になる仕組み

紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、PDFで作る電子定款にすればこの4万円がかかりません。freee・マネーフォワードのどちらも電子定款に対応しているため、代行手数料(5,000円前後)を払っても、紙で作るより安く済む計算になります。

さらに、freeeなら会計ソフトの年間契約、マネーフォワードならクラウドの有料プラン加入といった条件を満たすと、この代行手数料自体が無料になる導線が用意されています。どのみち設立後に会計ソフトを使うなら、電子定款代行が実質タダになる分、トータルコストを抑えやすいということです。

freee会社設立が向いている人

設立から日々の記帳・確定申告までをできるだけ自動化したい人、そしてfreeeの操作感に慣れている人にはfreeeが合います。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、勘定科目を推測してくれる思想が一貫しているため、簿記の知識が薄くても記帳を進めやすいのが強みです。

スピード重視で、質問に答えて書類を作り、そのまま同じ画面思想で会計まで走りたい一人社長やフリーランスからの法人化に向いています。

マネーフォワード会社設立が向いている人

すでにマネーフォワード クラウド会計や請求書、給与などのサービスを使っている、あるいは使う予定がある人にはマネーフォワードが自然な選択です。バックオフィス全体を同じ系列で揃えられるため、データ連携やID管理がシンプルになります。

また、行政書士による電子定款作成のサポートやメール・チャット対応があるため、「書類作成を一人で進めるのは不安」という人にも向いています。専門家連携を重視するなら、こちらを軸に検討すると安心感があります。

【正直に】無料ツールの限界と注意点

便利な一方で、無料の設立ツールには限界もあります。ここは正直にお伝えします。

第一に、これらは書類の「作成」を助けるツールであり、設立の意思決定まで代わってくれるわけではない点です。資本金をいくらにするか、事業目的をどう書くか、株式会社と合同会社のどちらにするかといった判断は、自分で調べるか専門家に相談する必要があります。フォームが埋まる=最適な設計、ではありません。

第二に、複雑なケースには不向きです。株主が複数いる、種類株式を使いたい、許認可が絡む、といった設計は定型フォームの範囲を超えます。この場合は司法書士・行政書士に依頼したほうが結果的に早く、安全です。

第三に、電子定款の代行や登記そのものはツール内で完結しない部分があり、法務局への申請は自分で行う流れが基本です。「全部が全自動で終わる」と期待すると、細かな手続きでつまずくことがあります。無料ツールは強力な下書き機能、くらいの温度感で捉えるのが実態に合っています。

設立後の会計ソフトまで見て選ぶ

設立ツールは一度きりの利用ですが、会計ソフトは毎月・毎年使い続けます。だからこそ、設立ツール単体の使い勝手より「その後の会計をどちらでやりたいか」を先に決めるほうが失敗しません。freeeで会計をするならfreee会社設立、マネーフォワードで会計をするならマネーフォワード会社設立、と紐づけて考えるのが素直です。

逆に言えば、まだ会計ソフトを決めていないなら、まず両方の会計ソフトの無料体験を触ってから設立ツールを選んでも遅くありません。設立の数日を焦って周辺ツールまで固めるより、日々使う会計側を軸に決めるほうが後悔が少なくなります。

合同会社を選ぶ場合の注意点

コストを抑えたい一人社長には、株式会社より設立費用が安い合同会社も有力な選択肢です。両サービスとも合同会社に対応しており、登録免許税なども株式会社より低く抑えられます。一方で、合同会社は社会的な認知度が株式会社ほど高くない、対外的な信用面で説明が必要になる場面がある、といった側面もあります。

「まず小さく法人を作りたい」なら合同会社、「将来的に増資や上場も視野に入れる」なら株式会社、というのが大まかな判断の目安です。どちらも設立ツールで書類は作れるので、費用と信用のバランスで選んでください。

会社の住所をどうするか——見落とされがちな論点

設立ツールの入力で意外と手が止まるのが「本店所在地」です。自宅を登記すると住所が登記簿やウェブに公開されてしまい、賃貸契約で事業利用が禁止されているケースもあります。ここで選択肢になるのが、住所だけを借りられるバーチャルオフィスです。

名古屋・星ヶ丘で運営する「クリガレ星ヶ丘」では、法人登記に使える住所を含む法人・団体プラン(月7,678円・税込/半年〜)を用意しています。個人・個人事業主向けのベーシックプラン(月3,278円・税込)もあり、入会金は個人16,500円・法人38,500円です。郵便は専用ロッカーで24時間受け取れるため、日中不在がちな一人社長でも取りこぼしがありません。星ヶ丘駅から徒歩5分、旧・星が丘自動車学校をリノベーションした施設で、ドロップイン(330円/30分)や会議室(会員660円/時間・一般1,500円/時間)も利用できます。設立の書類作成と並行して、住所の確保も早めに検討しておくと登記がスムーズです。

このサービス(無料設立ツール+バーチャルオフィス)が向かないケース

正直に、次のような方には別の選択肢が合理的です。

1. とにかく専門家に丸投げしたい人。書類作成の手間すら惜しい、複雑な資本政策がある、という場合は、最初から司法書士に一括依頼したほうが安心です。

2. 名古屋駅の一等地住所が事業上どうしても必要な人。ブランドとして「名駅」の住所が要るなら、星ヶ丘エリアの住所は目的に合いません。

3. 許認可で専有スペースが要る事業。建設業や有料職業紹介など、独立した事務所スペースや面積要件が求められる業種は、住所だけを借りる形では要件を満たせないことがあります。

まとめ

会社設立freeeとマネーフォワード クラウド会社設立は、どちらも書類作成が無料で、電子定款で印紙代4万円を節約できる点も共通です。決め手は「設立後にどちらの会計ソフトを使うか」と「専門家サポートをどこまで求めるか」。スピードと自動化ならfreee、他サービス連携と専門家サポートならマネーフォワード、と覚えておけば大きく外しません。そして住所の確保も、設立と同じくらい早めに動くのがおすすめです。

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