個人で事業を始めると決めたとき、最初にぶつかるのが「開業届ってどう出すの?」という壁です。税務署に行くのが面倒、書き方がわからない、青色申告の書類も別に要ると聞いて手が止まる——そんな方に向けて、この記事では開業freee(無料の開業届作成ツール)を使って、開業届と青色申告承認申請書をまとめて作り、提出まで終わらせる手順を最初から最後まで解説します。
結論から言うと、開業freeeを使えば画面の質問に答えるだけで書類が完成し、電子申請なら税務署に行かずに提出できます。慣れていれば15〜30分ほどの作業です。ただし「電子申請にはマイナンバーカードが要る」「青色申告には期限がある」といった注意点もあります。順番に見ていきましょう。
※本記事は一般的な流れの解説です。個別の判断は税理士など専門家にご確認ください。
開業届とは何か|出すと何が変わるのか
開業届(正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」)は、個人で事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。原則として事業を開始した日から1か月以内に提出することになっています。とはいえ、遅れて出しても罰則があるわけではなく、後からでも受理されます。
開業届を出す実務上のメリットは、屋号での銀行口座が作りやすくなること、青色申告承認申請書とセットで出せること、小規模企業共済など事業主向けの制度に入りやすくなることなどです。逆に「開業届を出すと扶養から外れる」といった直接の因果は基本的になく、扶養の判定は所得や収入で決まります。ここは誤解が多いところです。
開業freeeでできること・できないこと
開業freeeは、freeeが提供する無料の開業書類作成サービスです。質問に答えていくと、開業届・青色申告承認申請書・(必要なら)給与支払事務所等の開設届などを自動で作成してくれます。会計ソフトのfreee会計とは別物で、開業書類の作成だけなら無料で使えます。
できるのは「書類作成」と「提出方法の案内」までです。電子申請(e-Tax連携)にも対応していますが、申告そのものを代行してくれるわけではありません。また、事業内容や所得の見込みによって最適な選択(後述の課税事業者の選択など)が変わる部分は、ツールが判断してくれるわけではない点に注意してください。
事前に準備するもの
手続きをスムーズに進めるために、着手前に次のものを用意しておくと安心です。マイナンバー(個人番号)がわかるもの、屋号を使うなら決めておいた屋号、事業を始めた日(開業日)、そして事業内容を一言で説明できる言葉です。
電子申請を選ぶ場合は、マイナンバーカードと、読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダーが必要になります。カードを持っていない、あるいはスマホで読み取れない場合は、書類を印刷して郵送・持参する方法を選ぶことになります。
手順1|アカウント作成と基本情報の入力
開業freeeにメールアドレスで登録し、氏名・住所・生年月日などの基本情報を入力します。ここで入力する住所は、原則として「納税地(多くは自宅の住所)」になります。自宅住所を公開したくない事業(後述)の場合は、この段階でどの住所を使うか整理しておくとよいでしょう。
手順2|事業の内容と開業日を入力する
次に、仕事の種類(例:Webデザイン、ライター、コンサルティングなど)と、事業を始めた日を入力します。事業の種類は複数選べます。ここで入れた内容が、確定申告の際の「職業」「事業の概要」のベースになります。厳密な業種コードを気にしすぎる必要はなく、実態に合った言葉を選べば大丈夫です。
手順3|青色申告を選ぶ(ここが重要)
開業freeeでは「確定申告の種類」を選ぶ画面が出ます。節税を考えるなら、多くの人は青色申告(55万円または65万円控除)を選びます。青色申告には複式簿記での記帳が必要ですが、freee会計などのソフトを使えば負担は大きく下がります。
注意したいのは提出期限です。青色申告を新規開業年から適用するには、原則として開業日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を出す必要があります。開業freeeなら開業届と同時に作成できるので、このタイミングで一緒に出してしまうのが安全です。
手順4|提出方法を選ぶ(電子・郵送・持参)
書類が完成したら、提出方法を選びます。選択肢は電子申請(e-Tax)、印刷して郵送、税務署へ持参の3つです。それぞれの向き・不向きを表にまとめます。
| 提出方法 | 必要なもの | 向いている人 |
|---|---|---|
| 電子申請(e-Tax) | マイナンバーカード+読取端末 | 税務署に行きたくない・すぐ済ませたい人 |
| 郵送 | 印刷・封筒・切手 | カードは無いが手元で完結させたい人 |
| 持参 | 印刷書類・本人確認書類 | その場で控えに受付印が欲しい人 |
控え(受付印つき)は、屋号口座の開設や融資審査で求められることがあります。郵送の場合は返信用封筒を同封する、持参の場合は控えも一緒に出す、電子申請なら受信通知を保存する、といった形で必ず「出した証拠」を残しておきましょう。
よくある失敗と限界
実際につまずきやすいポイントを正直に挙げます。第一に、青色申告承認申請書の出し忘れです。開業届だけ出して申請書を忘れると、その年は白色申告になり、控除を受けられません。第二に、電子申請でマイナンバーカードの読み取りがうまくいかず、結局郵送に切り替えるケース。カードの暗証番号を忘れていると詰まります。
第三に、納税地を安易に自宅にしてしまい、後から名刺やネット掲載で自宅住所が広まってしまうケースです。開業freeeは住所の妥当性までは判断しません。プライバシーや取引先からの信用を考えるなら、事業用の住所をどうするかは書類を出す前に決めておくべきポイントです。
自宅住所を使いたくない場合の選択肢
自宅で開業する人ほど、「開業届やホームページに自宅の住所を載せたくない」という悩みが出てきます。事業用の住所として、バーチャルオフィスやコワーキングスペースの住所を使う方法があります。私たちが運営するクリガレ星ヶ丘(名古屋市千種区・星ヶ丘駅徒歩5分、旧・星が丘自動車学校をリノベーションした施設)でも、住所利用を含むプランを用意しています。
料金は税込で、ベーシック(個人・個人事業主向け)が月3,278円、法人・団体プラン(法人登記込み・半年〜)が月7,678円です。入会金は個人16,500円・法人38,500円。郵便は専用ロッカーで24時間受け取れます。ドロップイン利用は330円/30分、会議室は会員660円/時間・一般1,500円/時間、貸切は3時間33,000円・終日99,000円です。作業場所と住所をまとめて確保したい方は選択肢になります。
こんな人には向かないケース
正直に、開業freeeやバーチャルオフィス活用が合わないケースも挙げておきます。ひとつ目は、とにかく費用をゼロに抑えたい人。開業書類は手書きでも税務署でもらった様式でも出せるので、ツールも住所サービスも必須ではありません。
ふたつ目は、名古屋駅(名駅)や都心一等地の住所そのものが商談で必要な人。星ヶ丘の住所がブランドに合わない業種なら、別のエリアを検討すべきです。三つ目は、許認可で専有の事務所スペースが要る事業(人材紹介・士業・建設業許可など、要件で専有区画が求められるもの)。この場合は住所貸しだけでは要件を満たせないことがあり、事前確認が必須です。
まとめ
開業freeeを使えば、開業届と青色申告承認申請書を無料でまとめて作成でき、電子申請なら税務署に行かずに提出まで完結します。ポイントは、青色申告承認申請書を忘れず同時に出すこと、提出の控えを残すこと、そして納税地に使う住所を出す前に決めておくことの3つです。自宅住所を避けたい場合は、事業用住所の確保も合わせて検討しておくと後悔がありません。
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住所の選び方や開業後の実務については、開業届に書く住所の決め方、個人事業主の開業チェックリストもあわせてご覧ください。星ヶ丘での住所利用・作業環境は料金プラン、バーチャルオフィス(住所利用)、お問い合わせ・見学から確認できます。
